講師の村松先生のデッサンを見て、時々思うことがあります
「スキマがきれいだ・・」
コの字に開いた手のすき間
腰に手を当てたポーズの、胴体と腕が作るトライアングル
踏ん張って立つ両足と地面が作る山の形
方ひざを立てて寝そべる、そのふくらはぎと脚が作る矢じりのような形
八切り画用紙の四角と、描かれたモデルが作るすき間
優れたデッサンは、すき間が美しいのです
モデルと空間を隔てる、ギリギリの境界
意外なほど、軽いタッチの静かな線です
いや、タッチが存在しないといってもいい
描き手が瞑想状態にあるかのような、静謐な線です
(もちろん、同じところを2回も100回もなぞるマシンガンのような線ではありえません)
そんなことを考えながら、先生のデッサンを見て思い出したのが、
騙し絵で有名なエッシャーの「ルビンの壷」でした
壷を描いているようで、実はその隣の横顔を描いている
横顔を描いているようで、隣の壷を描いている
あるいは、二つを同時に描いている
そんな要素も、このデッサンには含まれてしまう
世界的に見て、線の美しさというものに、ここまで意識が開けた人たちがいたでしょうか??
先生自身、「自分のデッサンはある程度のところまできた」と言います
集大成に近い、ということなのでしょう
今、同じモデルを囲んで、リアルタイムで見られる人は幸運です
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